著作権に関するQ&A5~著作権の譲渡だけでは~

Q 私は、とあるイラストレーターさんから、絵を買いました。その際、著作権の譲渡も受けました。これで、私は、買った絵を自由に利用できるということですね?

A 絵を買い、著作権の譲渡を受けただけでは、著作者人格権の行使を受ける可能性があります。著作者人格権を行使されると、一切の改変が認められなくなります。

【解説】

実は、著作権は、大きく分けると2つに分類できます。それは、著作財産権(狭義の著作権)と、著作者人格権です。

著作財産権を、ものすごく大雑把にいうと、改変をせずにコピーする権利です。

著作者人格権を、ものすごく大雑把にいうと、改変をする権利です。

たとえば、↑の絵について、Xさんが、著作財産権だけを買い取ったとします。

この場合、↑の絵を改変せずに、コピーして売ること、ウェブに上げること、SNSのアイコンに使うことは可能です。

しかし、ひげを描き足すとか、口の形を変えるとか、色を付けるなど、改変をすることは許されません。

改変をしたい場合には、著作者人格権の譲渡を受けなければなりません……と言いたいところですが、著作者人格権は譲渡できないとされています。したがって、「著作者人格権を行使しない」旨の誓約を取り付けるという形をとることが一般的です。「著作者人格権の不行使」などと言います。

そして、単に「著作権の譲渡」という場合、著作者人格権の不行使までは含まれないという解釈が一般的です。

したがって、絵を買い、著作権の譲渡を受けただけでは、まだ、改変する権利までは得ていないことになります。

つまり、著作権を完全に自分のものにして、コピーも改変も一切自由にしたい場合には、著作権の譲渡を受けたうえで、著作者人格権の不行使まで誓約してもらうことが必要です。

逆にいうと、イラストレーターさんたちからすれば、安易に著作者人格権の不行使を誓約してしまうと、自分の著作物が思わぬ改変を受けることになるという意味でもあります。

「著作者人格権」には、重々ご注意ください。