保管金電子納付(ペイジーによる納付)
今日は、完全に弁護士向けとなってしまいます。ご了承ください。
今日、ご紹介するのは、裁判所に納めるお金を、現金・振込・切手ではなく、電子納付する方法です。
https://www.courts.go.jp/saiban/online/denshinouhu/index.htm
具体的には、ペイジーに対応しているネットバンキングか、ペイジーに対応しているATMから支払うということになります。
大抵のネットバンキングには対応していると思われますので、ネットバンキングを使用している方にはお勧めです。
私は、地方裁判所に訴訟提起をする際に、郵便切手の代わりに保管金電子納付をすることが多いです。
訴訟提起の際は、郵便切手を、裁判所が指定する組み合わせで(1000円切手が〇枚、84円切手が〇枚、1円切手が〇枚など)、納めるのが原則です。しかし、84円切手ならともかく、1000円切手など、そうそう保存していません。
つまり、都度、買いに行く手間があります。また、必要な郵便切手は、運用の変更や税率変更で、意外と頻繁に(数年に1回くらい?)変更されます。そのたびに確認するのも手間です。
しかし、事前登録のうえ、「郵便切手を電子納付する。」と言えば、裁判所の方で金額を計算してくれて、ペイジーでの納付書を送ってくれます。私としては、その納付書に従って送金すればよいだけなので、切手の在庫に頭を悩ませることはありません。
また、郵便切手を納めた場合、訴訟終了後、余った郵便切手は戻されます。実費を事前に納めてくださった依頼者様については、戻った郵便切手は依頼者様のものなので、お返しします。しかし、それこそ、84円切手ならともかく、1000円切手を戻されても困るという方も多いでしょう。
しかし、電子納付していれば、余った分はお金で戻されますので、依頼者様もお金で受け取ることができ、便利だと思います。
ただ、欠点もいろいろあります。
まずは、事前登録が必要なことです。ただ、事前登録は、原則として1回限りなので、そこまで大きい欠点ではありません。
大きい欠点としては、使える場面が意外と限定されているということです。まず、私の経験の範囲では、収入印紙を電子納付できたことがありません。あくまで、郵便切手だけです。つまり、収入印紙を買いに行く手間は省けません。そうなると、収入印紙を買うついでに郵便切手を買えば良いのではないかという気がしないでもありません。
また、破産申立の場合、官報公告費は電子納付できるものの、郵便切手はなぜか電子納付できません(静岡地裁だけかも知れませんが。)。
なお、理論上、保釈保証金(保釈金)も電子納付可能です。しかし、たとえ、送金元が24時間送金に対応していても、裁判所のシステム上、17時以降や休日の着金確認ができないそうなので(これも静岡地裁だけかも知れませんが)、保釈保証金は現金持参した方が無難と考えます。
たとえば、私は、スルガ銀行のネットバンキングを使っています、スルガ銀行は24時間送金に対応しているため、15時以降でも即日に送金手続きをしてくれます。しかし、平日といえども17時を過ぎると、裁判所が着金確認できないということです。つまり、平日18時にペイジーで保釈保証金を送金しても、裁判所が確認するのは翌営業日なので、実際に保釈されるのは、翌営業日になってしまうというわけです。
これが現金持参だと、保釈であれば、たとえ何時であっても裁判所の方が現金確認をしてくれます。つまり、現金持参であれば即日に保釈されるのです。
というように、使える場面が限られるという欠点はあるものの、使える場面でのメリットは大きいので、ご検討ください。