民法改正講義案1(時効1)-消滅時効の原則は何年?-

先日、3時間の民法改正講義の依頼をお受けしました。

この三連休で、講義案を作成したところ、A4で50枚にもなりました。

1回の講義でお蔵入りさせるのは勿体無いので、少しずつ公開させていただきます。

よろしくお願いします。

1 消滅時効の原則は、5年になった

【第166条】
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき
(1)ひとこと解説

債権者(権利を持っている人。例えば、お金を貸してくれた人)が権利を行使できることを知った時から5年間行使しない場合か、権利を行使することができるときから10年間行使しない場合は、権利は消滅してしまいます。

(2)詳細解説

原則として、支払期限から5年経つと、権利は消えてしまいます。旧法(今後、当ウェブサイトでは、2020年3月31日まで有効な民法を「旧法」と呼びます。2020年4月1日に施行される民法を「新法」と呼びます。)では、時効期間が、1年~3年、5年、10年といろいろありました。

新法では、後日申し上げるとおり、いくつかの例外はありますが、原則として時効は5年になりました。

たとえば、個人間の借金といえども、返済期日から5年間放置すると、消滅してしまうのです。なお、旧法では、個人間の借金の時効は、10年でした。

(3)補足

普通に考えると、給料や残業代の請求権も5年になるべきです。
しかし、給料や残業代については、本日現在、改正されたという情報は入ってきておりません。