著作権に関するQ&A9~商標登録は活動停止のリスクを軽減する~

Q 商標登録の重要性は分かりました。でも、パクられても、しょせんはパクリです。パクリには負けません。自分が元祖であることを訴えて活動すればよいと思います。

A パクられた上に商標登録されると、活動停止に追い込まれるリスクがあります。

【解説】

例えば、↓の①の絵につき、私が「清水ねこべえ」の名前を付けて、商標登録せずに売り出したとします。

さて、これに対し、全くの第三者が↓の②の絵に「清水ねこべえ」の名前を付けて、商標登録したらどうなるでしょうか。

まず、絵自体は全く異なり、絵をパクっていません。したがって、絵の著作権は侵害されていないことになります。

また、名前そのものには、著作権が認められないとするのが今のところの裁判例です。

つまり、↑の絵に「清水ねこべえ」の名前を付けて売り出すことは著作権法違反にはなりません。

また、商標登録していないという前提なので、商標権の侵害にもなりません。

もっとも、不正競争防止法違反を主張する可能性は残っています。ただ、不正競争防止法違反の立証も、難しいです。

したがって、全くの第三者が②の絵と「清水ねこべえ」で商標登録できる可能性はあります。

では、もし、商標登録されてしまったらどうなるでしょうか。

全くの第三者が②の絵と「清水ねこべえ」の名前を使えるのは当然です。

そのうえ、私が、①の絵とセットで「清水ねこべえ」の名前を使うことを禁止される可能性すらあります。

これは、Vtuberさんたちにとって、脅威だと思われます。

絵をアバター、名前をハンドルネームに置き換えて考えてみてください。

もし、第三者が、名前をパクり、アバターだけ別のものに置き換えた場合、パクられた側には対抗手段が乏しく、むしろパクった側から名前の使用停止を求められるリスクすら生じます。

Vtuberさんたちは、アバターも魅力的ですが、考え抜かれたハンドルネームも魅力的です。
その考え抜かれたハンドルネームを使えなくされたら、事実上、活動停止に追い込まれるかも知れません。

名前のパクリを防止するには、著作権法では不十分なのです。名前を含めて商標登録をして、商標権を得ておく必要があります。商標登録によって、活動停止のリスクを軽減させることができます。
著作権も大事ですが、Vtuberさんにとって、商標権も大事であるというお話でした。