共同親権で意見がまとまらない場合はどうなる?弁護士が解説します
Q 離婚後共同親権となりました。ただ、子どもの居所(実際に住むところ)について、元配偶者との間で、協議がまとまりません。どうしたらよいでしょうか。
A まずは、令和8年4月以前から存在した、監護者指定の制度を活用し、自らが監護者になることが考えられます。ただ、令和8年4月以降は、特定の事項に関する親権行使者指定の制度も登場します。つまり、居所に関する親権行使者指定の制度を使うことも考えられます。そして、監護者の権限は広く、監護者の争いで紛争が長引くリスクがあるため、令和8年4月以降は、親権行使者指定の制度が広く活用されるのではないかとされています。
【解説】
たとえば、令和8年4月以前で、離婚前で共同親権中の子どもの居所に争いがある場合(典型的には、
夫婦のいずれもが子と同居を望んでいる場合)、監護者指定の申し立てをするのが一般的でした。
そして、令和8年4月以降も、監護者指定の申し立てができなくなるわけではありません。
ただ、以下の条文のとおり、監護者の権限は広いので、監護者指定で揉めると、それだけで紛争が長期化しました。たとえば、監護者となると、居所の指定はもちろん、進学先まで決められるようになります。
(監護者の権利義務)
第八百二十四条の三 第七百六十六条(第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により定められた子の監護をすべき者は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。この場合において、子の監護をすべき者は、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限をすることができる。
2 前項の場合には、親権を行う者(子の監護をすべき者を除く。)は、子の監護をすべき者が同項後段の規定による行為をすることを妨げてはならない
それを恐れてか、令和8年4月以降は、特定の事項についてのみ家裁が単独で親権行使できる者を指定する、親権行使者指定の制度ができます。
この場合、居所指定に限り、親権行使者の指定を求めるだけとなります。
つまり、居所指定の親権者に指定された者といえども、進学先を勝手に決めることはできないという訳です。
(親権の行使方法等)
第八百二十四条の二
3 特定の事項に係る親権の行使(第一項ただし書又は前項の規定により父母の一方が単独で行うことができるものを除く。)について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。
もっとも、親権行使者指定は新しい制度なので、本当に監護者指定よりも早く処理されるかは、誰にも分からないとしか言えません。
なお、イメージしやすいように、離婚後共同親権を例に挙げました。
ただ、民法824条の2第3項には、離婚の前後について限定がありません。
限定が無いということは、離婚前の状態であっても、親権行使者指定の制度は使えるという意味です。
たとえば、離婚前の夫婦間で、子どもの進学先が、私立か公立かでまとまらない場合にも、使えることになります。
次回の記事にもご期待ください!

