共同親権になると何ができる?弁護士が分かりやすく解説します

Q 私は、令和8年4月以降に離婚する予定です。また、子どもとは別居する予定です。このような状態で、離婚後共同親権となった場合、私は共同親権者として何ができるのでしょうか。

A イメージとしては、お子様の監護及び教育に関する日常の行為以外で、かつ、お子様にとって急迫な事情に対応すること以外については、共同で親権を行使することになります。

Q 監護及び教育に関する日常の行為とは何でしょうか。

A 例を挙げますと、食事や服装の決定・短期間の観光・心身に重大な影響を与えない医療行為の決定・習い事の決定・アルバイトの許可などが挙げられます。

Q 急迫な事情とは何でしょうか

A 緊急の医療行為や、入学手続期限が迫っている場合の入学手続などです。

Q 逆に、別居していても、共同で行使できる例を挙げてください。

A お子様の転居・養子縁組(お子様が15歳未満の場合)・進路の決定・心身に重大な影響を与えるが、緊急ではない医療行為・預金口座の開設などです。

【解説】

離婚後共同親権ということは、原則として、離婚後も、離婚前と同じように共同親権者として親権を行使できるということになります。

ただ、離婚前は、夫婦間は同居していることが多く、意思疎通も容易でした。
しかし、離婚した元夫婦は、別居することが一般的です。

したがって、意思疎通が容易ではありません。
そのため、例えば、離婚後共同親権となり、お子様と同居している親(同居親)が、お子様をクリニックに連れて行こうとした場合に、いちいち、お子様と別居している親(別居親)と協議をしてどこのクリニックに連れていくかを決めているようでは、お子様の容態が手遅れになり、却ってお子様の利益を害することになります。

そのために、令和8年4月以降も、民法は、例外規定を置き、同居親が困らないよう、ひいては、お子様の利益が害されないような手を打ったという訳です。

(親権の行使方法等)
第八百二十四条の二 親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
一 その一方のみが親権者であるとき。
二 (省略)
三 子の利益のため急迫の事情があるとき。
2 父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。

要するに、子の利益のため急迫の事情があるか、監護及び教育に関する日常の行為については、同居親が単独で親権行使できるということになります。

逆にいえば、子の利益のため急迫の事情がなく、かつ、監護及び教育に関する日常の行為以外については、別居親も共同親権者として、親権の共同行使が認められます。

そして、離婚後共同親権者が、共同で行使できる例としては、お子様の転居・養子縁組(お子様が15歳未満の場合)・進路の決定・心身に重大な影響を与えるが緊急ではない医療行為・預金口座の開設が挙げられます。

つまり、現在、単独親権で、今後、共同親権にしたいとお考えの場合には、離婚後共同親権者が共同で行使できる例について、「自分も関与する方が、子どもの利益になる。」と主張立証することが良いのではないかと考えられます(私見)。

たとえば、「現在の単独親権者は、子どもに関し、中学卒業後、働かせようとしている。しかし、高校進学も踏まえてちゃんと協議したい。」などという主張が一つ考えられるかも知れません(私見)。

なお、イメージしやすいように、「子の利益のため急迫の事情があるか、監護及び教育に関する日常の行為については、同居親が単独で親権行使できる」と書きました。
しかし、別居親も、子の利益のため急迫の事情があるか、監護及び教育に関する日常の行為については、単独行使できます。
たとえば、別居親と子が面会交流中に、子が急病になりました。その際、別居親は、同居親と協議することなく、自分でクリニックを選んで子を連れて行くことが可能です。

あるいは、面会交流場所が指定されていない場合、子の希望に応じて、別居親が子を日帰り旅行に連れて行くことも可能です(通常、面会交流場所は指定されますが。)。


ただ、やはり、離婚後共同親権といえども、別居親にできることは意外と少ないです。
ご注意ください。

次回の記事にもご期待ください!