著作権に関するQ&A10~やっぱりアバターも商標登録~

Q 商標登録しないと、ハンドルネームが使えなくなるリスクがあることは分かりました。でも、アバターは、著作権法で守られますよね?私は、アバターを自作しております。

A 理屈としては、アバターは著作権法で守られます。著作権法違反の商標は使ってはいけないとされています。しかし、例によって著作権法違反の主張が難しいのです。

【解説】

著作権が登録不要・商標権が要登録であるからといって、商標権が常に優先するということはありません。他人の著作物を、登録商標として使うことはできないとされています。

(他人の特許権等との関係)
商標法第二十九条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。

ここで、違和感を持った方もいらっしゃると思います。
「『登録商標の使用をすることができない』ということは、あたかも、『登録自体は可能』と読めるではないか。」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

実は、そのとおりです。
特許庁としては、著作権の有無を判断するのは困難なので、著作権の有無については、裁判で別途争ってほしいと考えているようです。

さて、ここで考えてください。他人の絵をパクって商標登録するような者が、「あなたは著作権侵害をしているので、登録商標の使用を止めていただきたい。」と裁判所に訴状を出すだけで、おとなしく引きさがるでしょうか。
おそらく、引きさがらないことが多いと思います。

そうなると、正面からキチンと証拠を揃えて裁判に臨む必要があります。
しかし、何度か申し上げたとおり、著作権法違反の主張は、意外と難しいのです。つまり、勝てるとしても裁判は長引く可能性がありますし、最悪の場合、敗訴する可能性もないとは言えません。

つまり、私が↓の絵で「清水ねこべえ」の名前を付けて、商標登録をせずに売り出したところ、第三者が↓の絵も名前もパクって商標登録したとします。
この場合、私は、勝てるかどうか分からない裁判に臨み、裁判に勝つまでは事実上、↓の絵も「清水ねこべえ」の名も使えないということになります。

これは、Vtuberさんにとって、前回より由々しき事態となるでしょう。
アバターもハンドルネームもパクられたうえに、裁判に付き合わされ、最悪の場合、アバターもハンドルネームも使えなくなります。

ということで、アバターは著作権法で保護されるものの、商標登録をした方が無難であるというお話でした。