民法改正講義案6(賃貸借5)-完全に住めなくなったら当然終了-

前回、「一部住めなくなったら、当然減額」と申し上げました。

そうなると、「全部住めなくなったらどうなるの?」という疑問が出てくるでしょう。

5 全部滅失したら当然終了する

【第六百十六条の二】
賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。

(1)ひとこと解説

貸家や貸部屋が、完全に住めなくなったら、その時点で契約終了です。

(2)詳細解説

貸家や貸部屋が、全焼したり、全壊して住めなくなった場合、賃貸借は終了します(解除の手続きを採ることも不要です)。

(3)補足

前回と同様、条文には「賃借人の責めによらない場合に限り」などという例外規定がありません。したがって、店子(賃借人)の失火で、アパートを全焼させた場合も、当然終了します。何か変な感じもしますが、アパートがなくなった以上、契約を続ける意味がないのです。もちろん、店子は、失火の責任は負います。

なお、全焼・全壊していなくても、原発事故などで、住めなくなった場合も同じです。