民法改正講義案4(売買3)-契約の一部解除は可能?-

3 一部解除も可能である

【第542条】
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき

(1)ひとこと解説

文字どおり、一部解除ができることが明文で認められました。

(2)詳細な解説

旧法下でも、何となく行われていて、特に問題は発生しづらかったと思われます。しかし、旧法では、一部解除を正面から認めた条文がありませんでした。今回の改正で、契約の一部解除がハッキリ認められたことになります。

(3)例

チャイルドシート付の中古車を買ったところ、チャイルドシートが壊れていたとします。この場合、チャイルドシート部分についてだけ契約を解除して、チャイルドシート分の代金返還を求めることができます。なお、契約全体(中古車売買契約)を解除するのは難しいでしょう。契約全体からすると、チャイルドシートが壊れていたことは「軽微」とされる可能性があるからです。