民法改正講義案1(時効5)-判決確定した債権の時効は?-

時効第1回目の講義で、「時効の原則は5年」と申し上げました。
しかし、判決までいった債権は、10年のままです。

5 判決確定した債権は、旧法と同じ10年のまま

【第147条】
1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
【第169条】
1  確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
【第148条】
1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。
(1)ひとこと解説

確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによる確定があった場合(調停成立など)には、時効期間は、旧法と同じく10年になります。

(2)詳細解説

各種裁判手続(訴訟、調停、支払督促、破産、民事再生、会社更生など)や強制執行中は時効の完成が猶予されます。

裁判手続の結果、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによる確定があった場合や、強制執行手続が完了した(担保権実行、財産開示 も含む。)があった場合には、時効は「更新」となります。つまり、数えなおしというわけです。

残念ながら、確定せずに終わった場合や、強制執行手続が完了せずに終わった場合(却下や取り下げなど)の場合には、翌日から6か月間だけ完成猶予となります。却下や取り下げた日に「催告」をしたようなイメージで良いでしょう。

なお、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによる確定があった場合には、時効期間は10年になります。この点については、旧法と同じです。むしろ、新法の原則が5年なので、普通の借金に関する強制執行が上手くいっても、時効は5年しか止まらないことがあることにご注意ください(担保権実行など、確定判決に基づかない強制執行をした場合)。

(3)補足

148条1項4号を、よく読むと「財産開示」ですら、時効が更新されます。「財産開示」とは、債務者(お金を借りた人)などを呼び出して、裁判所で財産の内容を開示させることです。開示だけです。財産開示だけでは、1円も入ってきません。それでも、時効の更新となるのです。ここは、旧法と異なるところです。

たとえば、AさんがBさんにお金を貸したものの、Bさんが支払わなかったので、AさんがBさんに裁判を起こし、2030年1月31日、Aさんの勝訴判決が確定しました。

その後、2040年1月4日になってもBさんは支払いませんでした。そこで、Aさんは、Bさんに対し、財産開示手続を採ったところ、2040年1月30日に財産開示手続が終わりました。すると、時効が更新されます。

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